兄弟にあたる人が市税を滞納したまま亡くなり、相続人に対して請求されたケース/松原市

  • 状況

    • 今から40年近く前になるが、離れて暮らす父親が亡くなる少し前に、親しくしていた男と知らない間に養子縁組をしていた。女姉妹は皆嫁いで家を出ていたので、誰も事情がわからないまま父が亡くなり、恐らくその男が使い込んでしまったのかもしれないが、財産もほとんど残っていなかった。
    • 今年の4月に、市役所から封書が届き、市税を滞納したまま亡くなった男性の兄弟にあたると書いてあったので、驚いて戸籍を調べてみると、確かに父の生前に養子縁組をしており、兄弟姉妹の関係にあたるのも確かです。ただ、その人が亡くなったのは3年前くらいで、結婚して子供もいましたが、今頃になって兄弟に請求が来るということは、子供や配偶者は相続放棄をしたのだろうと推測されます。相続放棄をしたいが、亡くなってもう3年も経つのに、相続放棄できるのか心配で相談に来られました。
  • 司法書士の提案&お手伝い

 民法は、相続の承認・放棄は、自己のために相続があったことを知った時から3ヶ月の期間内にしなければいけないと定めています(民法915条1項本文)。この3ヶ月の期間を、熟慮期間といいます。それでも、①法定相続人がその相続財産(債務など)のあることを知らず、②被相続人と疎遠であったなどしてその知らないことが無理もないと認められる場合には、例外的にその債務などを知ったときから3ヶ月以内は相続放棄が認められるとされています。このケースでは、そもそも兄弟の存在すら知らなかったのですから、相続債務があることを知ることはできなかったわけで、市役所の通知が届いたときから3ヶ月以内であれば、相続放棄が認められる可能性が髙いと判断しました。

  • 結果

 養子縁組の経緯、通知を受けたときの状況など、詳細に書いた事情説明書を添付して、相続放棄の申述を行い、無事に受理されました。